ここに、東南アジアのものは中国に含めています。また、西アジア（中近東）のものは欧州に含めています。この時、中央アジアが抜けますので、この項を設けました。（本ホームページの簡易版では中央アジアも中国に含めました。ただし、ここでいう中央アジアの範囲とは、イラン以東、ヒマラヤ以西とします。）　中国のカエデについては種類も多く、「中国植物誌」も考慮してまとめました。各地域の種類数の合計が世界の総数に一致しないのは、地域をまたがって分布するためです。

この表によると、中国での種類数が圧倒的に多いことがわかります。ちなみに本ホームページの「日本の詳細版」には60数種類を載せています。以上、表に表された数字から言えることを箇条書きにまとめてみましょう。

１．概要

この表の数字で話しをすればという条件付きですが、世界に約200種あることが読み取れます。中国および東南アジアには100種類以上あること、日本は国土は狭いながらも30種ほどありますので、面積あたりの種類数は世界一と言えましょう。

２．系の中に１種しかない少数派の種

日本産の Parviflora 系のテツカエデ、Distyla 系のヒトツバカエデ、Indivisa 系のチドリノキの３種。
Wardiana 系の Acer wardii はビルマ北部、雲南、西蔵、アッサム地域に分布する。
中国産の Pentaphylla 系の Acer pentaphyllum (五小葉カエデ)
北米産の Macrophylla 系の Acer macrophyllum (Bigleaf maple or Oregon maple)

３．比較的種数の多い系であつて地域が限られる場合

　　中国、日本を含むアジア地域

Palmata 節では、北米の Acer circinatum（ツタカエデ）を除く他のPalmata 系（日本、中国）、Sinensia 系（中国）、Penninervia 系（中国）の各種。
Macrantha 節では、同系の北米の Acer pensylvanicum（シロスジカエデ）を除く他の種。
Glabra 節の Arguta 系の種（アサノハカエデの仲間）。
Pentaphylla 節では、Trifida 系の種（トウカエデ、クスノハカエデの仲間）。
Trifoliata 節では、Grisea 系、Mandshurica 系の３小葉をもつ種（メグスリノキの仲間）。
Lithocarpa 節では、Lithocarpa 系の種（カジカエデ）。
Hyptiocarpa 節では、中国、東南アジアの種。

　　北米地域

Glabra 節の Glabra 系の種。
Negundo 節の Negundo 系の種。
Acer 節では、 Saccharodendron 系の種（いわゆるサトウカエデの仲間）。
Rubra 節の 日本のハナノキを除く Rubra 系の種（Red maple & Silver maple）。

　　欧州および西アジア地域

Acer 節では、 Acer 系および Monspesulana 系の種。

４．一部の地域を除いて広く分布するもの

Parviflora 節の Caudata 系（オガラバナの仲間）は、欧州を除く地域に散在する。
Macrantha 節、Macrantha 系（ウリハダカエデの仲間）は、欧州を除く地域に散在する。
Platanoidea 節、Platanoidea 系（イタヤカエデの仲間）は、北米を除く地域に散在する。
Ginnala 節、Ginnala 系（カラコギカエデの仲間）は、北米を除く地域に散在する。

５．興味深い分布をもつもの

Rubra 系の種の北米の Red maple（アメリカハナノキ） と日本のハナノキの姉妹種は太平洋をまたがって分布。
Hyptiocarpa 節の Hyptiocarpa 系の　Acer laurinum は南半球で唯一のカエデで常緑。