1.予備知識について

1.カエデ属の位置付け

 カエデ属(Acer)は被子植物、双子葉植物、ムクロジ目、カエデ科に属し、カエデ科(Aceraceae)にはカエデ属と金銭槭(キンセンセキ)属の2属があります。

2.カエデ科の分布

赤道以南つまり南半球ではジャワ島あたりにしかないことがわかります。

3.金銭槭属の種類

 金銭槭属(Dipteronia)には2種あり、葉は対生の奇数羽状複葉、小葉は7−15枚(葉の付き方はネグンドカエデのようであって、小葉の枚数が多い)。 果実はニレのように種子を囲む円形の薄膜状の翼があります。中国中部及び西南部の産で、学名は2つの翼の意味があります。
 (参考図書:中国植物誌、樹木大図説)

学名

中国名

特徴、コメント

Dipteronia sinensis

金銭槭

落葉小喬木、5-10m、小葉7-13枚、河南-四川

Dipteronia dyerana

雲南金銭槭

喬木、7-13m、小葉9-15 枚、雲南、貴州産

4.カエデ属の分類

カエデ属の分類は「Maples of the World」に従いました。植物学として研究のレベルを極めるには、世界各地域の分類に関する専門的な見解のみならず、世界全体を融合させるトータルな見解が望まれます。その意味において、この本の分類のしかたが最適か否かの評価についてはわかりませんが、現段階において、全体を見るためには十分な書物であると思います。

種数

コメント
1. Parviflora 1. Parviflora

1
日本産のテツカエデ(A.nipponicum)
2. Distyla

1
日本産のヒトツバカエデ(A.distylum)
3. Caudata

4
アジアのA.caudatum、日本のオガラバナ、北米のA.spicatum
2. Palmata 4. Palmata

15
日本産をメインとしたイロハモミジ、ハウチワカエデなどの仲間
5. Sinensia

32
いわゆる中華カエデの仲間
6. Penninervia

12
中国及び東南アジア産、裂片なしの革質葉をもつ
3. Wardiana 7. Wardiana

1
ビルマ北部、雲南に産する3裂片の A.wardii
4. Macrantha 8. Macrantha

21
ウリハダカエデやミネカエデなど幹に縞模様をもつ仲間
5. Glabra 9. Glabra

5
北米産のA.glabrum およびその亜種
10. Arguta

5
日本産アサノハカエデの他、ヒマラヤ、極東アジアにも産する
6. Negundo 11. Negundo

4
北米のネグンドカエデの仲間
12. Cissifolia

2
日本のミツデカエデと中国の A.henryi、(3小葉)
7. Indivisa 13. Indivisa

1
日本産チドリノキ
8. Acer 14. Acer

6
欧州、地中海産の西洋カジカエデやA.heidreichii などの仲間
15. Monspesulana

20
欧州、地中海、中近東産で革質葉のものが多い
16. Saccharodendron

10
北米のサトウカエデの仲間
9. Pentaphylla 17. Pentaphylla

1
中国産の通常5小葉、A.pentaphyllum
18. Trifida

13
中国産のトウカエデの仲間(クスノハカエデも含まれる)
10. Trifoliata 19. Grisea

3
日本産のメグスリノキのほか中国産2種、3小葉
20. Mandshurica

2
中国産2種、3小葉
11. Lithocarpa 21. Lithocarpa

6
日本産カジカエデのほか中国、ヒマラヤにも産する仲間
22. Macrophylla

1
北米の Oregon maple(A.macrophyllum)
12. Platanoidea 23. Platanoidea

22
欧州産 ノルウェ−カエデ、日本産イタヤカエデの仲間
13. Pubescentia 24. Pubescentia

2
西アジアの A.pentapomicum と 中国西部の A.pilosum
14. Ginnala 25. Ginnala

4
日本産カラコギカエデ、東欧、近東、極東のTatarian maple
15. Rubra 26. Rubra

3
日本のハナノキ、北米のアメリカハナノキ、ギンヨウカエデ
16. Hyptiocarpa 27. Hyptiocarpa

2
A.laurinum (南半球唯一種)などの熱帯地域の常緑カエデ
 

合計数

199
 

以下、このリストの左半分の節、系、総数の3列を固定して、世界の地域毎のリストを紹介していきます。

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