中国産カエデの一覧表を作成するにあたり、分類の仕方を "Maples of the World" をベースにして、中国名、産地情報を「中国植物誌:第四十六巻」に従いました。 現時点で、14節と10系、116 の種、亜種からなる分類群にまとめてみました。(2001年5月5日)
種類の多い中国産のカエデを一覧表にまとめてみたいという気持ちはありましたが、この数年間、中国産のカエデのタネを栽培し観察していくうちに以前よりも身近なものに感じられるようになり、今回試みました。作業を進めるにつれて、理解が深まると同時に認識困難なテーマも生じてきましたが、必要に応じて今後追加改訂していきたいと考えます。
ここには、参考文献間の相違点もあり、その相違点については言及できません。また、ネーミングが違うため、同一種を別名で重複して記載している可能性があります。気付いた点は各リストにコメントしていきます。
まず、分布のイメージをわかりやすくするために中国省図を示します。(中国白地図を岩野様に提供いただき、アレンジしました。)
Wallich |
円形に近い、枝/茎は赤くない |
北Burma, 西藏南部 満州, 朝鮮, 日本 |
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Murray |
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Murray |
from Ukurundu |
Rehder |
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Hayata |
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Thunberg ex Murray |
Iroha momiji |
浙江, 朝鮮 |
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Komarow |
To-hauchiwa |
假色槭 |
700〜900m |
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Fang |
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1000ー2000m |
この Palmata 系には、日本のイロハモミジ、オオモミジ、ハウチワカエデなども含まれます。また、北米の Acer circinatum (Vine maple) もこれに属します。 Palmata 系と Sinensia 系の違いの認識の問題で、例えば Acer oliverianum や Acer heptalobum を、Series Palmata あるいは Series Sinensia のいずれに属させるのか学者により異なっています。 これについては後日言及したいと思います。(研究課題1)
シッキム |
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2500-3100m |
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雲南, 1400-2000m |
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et Metcalf |
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広西, 1800〜2200m |
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Handel-Mazzetti |
当年枝絨毛に被われる |
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Fang et Fang f. |
1200-2000m |
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Fang et Fang f. |
黄色の長絨毛あり、 |
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Fang et Fang f. |
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Fang et Chiu |
小枝は蝋質白粉、 脈腋を除き無毛 |
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Fang |
果実小、翅鈍角 |
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Fang |
葉は革質。 |
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Fang et Chiu |
葉が革質に近くオリーブ色 樹皮/枝紫がかる |
浙江、安徽南部 |
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Pax |
広西、浙江 1500〜2500m |
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Murray |
Itomaki shima momiji |
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Pax et Hoffmann |
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Fang et Soong |
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中華槭に似るが葉は薄い |
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葉の先端鋭尖、翅鋭角 |
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常緑、葉は3裂、革質 |
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革質に近く, 3 裂、基部は丸め |
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枝は無毛、葉は3裂 |
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Fang et Wu |
裂片周辺に鋭尖鋸歯あり |
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福建、広東, 500〜1000m |
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Hu et Cheng |
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Fang et Wu |
ユーカリノキ |
Acer wangchii に似る |
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紅翅槭 |
幼枝紫緑色 |
広西、四川 |
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Chun et Fang |
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Hu et Cheng |
Guangdong |
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貴州, 1000〜2000m |
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Fang et Hu |
長円形、葉脈少 |
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Metcalf |
枝:紫褐色、淡紫 |
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この Acer wardii を Macrantha 節に含めた上で、Macrantha 節を Macrantha 系、Rufinervia 系とMicrantha 系の3つの系から構成する学者もいます。3つの系からなる考え方は小生にとって自然な見方と思えます。(研究課題2)
A. kawakamii |
オナガカエデ |
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Franchet |
支那カエデ |
の広範囲 |
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Pax |
赤み無し |
山西、陝西、湖南 |
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Fang et Hu |
2500-3000m |
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川康槭 |
種子油石鹸 |
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Pax |
コミネカエデほど 葉の切れは深くない |
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Wallich et Nicholson |
葉柄赤い |
ネパール、雲南、西藏 2900-3700m |
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Handel-Mazzettii |
3-5裂、重鋸歯 |
2300-3000m |
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Hu et Cheng |
葉中段以上3裂、細鋸歯 |
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Hayata |
中裂片尾状尖鋭 |
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A.hookeri Miquel |
鋭歯槭 |
葉は長円卵形 |
錫金 |
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Maximowicz |
葉大、萌芽時期が早い |
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A. komarovii Pojarkava |
樹皮光滑、染料 |
800m |
この Macrantha 節には、日本のウリハダカエデやホソエカエデなど、ミネカエデやコミネカエデなどと共に、北米の Acer pensylvanicum (シロスジカエデ) が含まれます。
Maximowicz |
朝鮮アサノハカエデ |
500〜1200m |
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Fang et Su |
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Hiern |
重鋸歯、裏黄絨毛、翅鋭角 |
2800-3200m |
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4 stamens |
重鋸歯、翅鋭角 若葉時表裏短絨毛、以後脱落 |
1400-3300m |
A. barbinerve とA.megalodum の2種、および A. stachyophyllum と A. tetramerum の2種はそれぞれ同種として扱われることもあります。この Arguta 系には日本のアサノハカエデが含まれます。Arguta 系に近いGlabra 系には北米の Acer glabrum が属します。
支那ミツバカエデ |
ミツデカエデの仲間 |
500-1500m |
Wallich ex Brandis |
5裂、裏面白粉、花黄緑色 |
ネパール, 2000-3700m |
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陝西太白山 |
若枝は白っぽい花で被われる |
雲南、西藏、2000-3700m |
Miquel |
after Buerger |
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ssp.formosanum Hayata |
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ssp.ningpoense Rehder |
当年生小枝と花序に 淡黄色絨毛、葉下面疎柔毛 |
湖南, 雲南 |
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Hayata |
側脈3-4対、翅鋭角 |
湖南, 広東、300-1200m |
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Leveille |
側脈5-6対、翅鈍角 |
1500-2500m |
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Maximowicz |
3裂、上面深緑下面粉白色 |
1200-1800m |
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(A. kwangnanense Hu et Cheng) |
上面下面無毛、金沙槭に似る |
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クスノハカエデ |
雲南, 四川 |
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金江槭 |
雲南、四川西南部 |
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Chun et Fang |
上面オリーブ色、下面粉白色 |
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Chun |
マンサク科水糸梨属 |
下面粉白色、翅果紫色 |
600-1000m |
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ssp.tsinyunense Fang |
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griseus : gray |
3小葉 |
四川, 1500-2000m |
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A. maximowiczianum Miquel |
megusurinoki |
日光槭 |
滑らかな樹皮と大きな葉 |
日本, 1000-1800m |
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オニメグスリ |
淡褐色の縦に裂けた樹皮 |
400-1000m |
Maximowicz |
マンシュウカエデ |
白牛槭 |
樹皮は滑らかで剥げない |
500〜1000m |
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Franchet |
散房花序 |
2000-2600m |
Fang et Soong |
上段3裂, 翅果4-4.5 cm |
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Cheng |
翅果3.5 cm |
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(A. villosum Wallich) |
アオギリ科ピンポンノキ属 |
翅果5-6 cm |
ネパール、パキスタン |
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翅果4-4.5 cm |
1800-2300m |
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中段以上3裂, 翅果8-12 cm |
Sikkim, Bhutan, Himalayas |
Gleditsch |
Kolchischer Ahorn |
葉紙質、5-7裂 |
トルコ北, イラン, Himalayas |
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ssp. sinicum Rehder |
モミジイタヤ |
1500-2500m |
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ssp. sinicum var. tricaudatum Rehder |
雲南, 2000-2800m |
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Franchet ex Rehder (A. fulvescens Rehder) |
(黄毛槭) |
葉紙質、3-5裂 |
安徽, 1000-1500m |
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湖南, 広東, 江西, 安徽 浙江, 1000-2000m |
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Rehder |
キササゲ |
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Cheng |
アオギリ |
葉幅28cm に達する |
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葉紙質, 3-5 裂, 翅角水平 |
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(A. pictum Thunberg ex Murray) |
Itaya kaede |
色木槭 |
翅角鋭角か鈍角 イタヤカエデに同じ |
800-1500m 蒙古、朝鮮、日本 |
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翅角鈍角か水平 |
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翅角水平以上 |
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翅角水平に近い |
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マンシュウイタヤ |
幹に裂溝, 翅角鋭角か鈍角 油を採る, 種食用 |
陝西, 400-1000m |
(A.stenolobum Rehder) |
(細裂槭) |
翅角鋭角 |
(山西・陜西、1000-1500m) |
カラコギカエデに同じ |
日本, 800 m以下 |
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Regel et Herder |
2200mまでの雑木林 緑化樹種 |
2000-2200 m |
葉裏面青み帯びる 雄蕊10-12、翼果: 直立 |
タイ, ベトナム |
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evergreen leaves |
葉裏: 粉白色, 表: 光沢ある緑 雄蕊10-12、翼果:鈍角 |
フィリピン、マレーシア インドネシア 1000-2000 m |
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10本の雄蕊 |
翼果 : 鋭角直角鎌刀形 |
800-1500 m |
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Hu et Cheng |
長い翅果 |
葉裏 : 粉白色、翼果ほぼ直立 |
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Hu et Cheng |
クスノキ |
長円、葉裏 : 粉白色 翼果 : 鋭角鎌刀形 |
この Hyptiocarpa 節については、参考書により記述内容について不明な部分がありましたので、No.513, 514 は "Maples of the world" から、No.515, 516, 517 は「中国植物誌:第四十六巻」から引用しました。(研究課題3)