冬至の頃、太陽が南寄りの低い軌道を通るのに対し、
満月は、ほぼ北端の天頂に近い軌道を通ります。

そして、月の出の方角は、真東より最も北側近くの方角から出て、
南中時の高度は高く、天頂近くに見えます。
月の入りの方角は、真西よりも最も北側近くの方角に沈みます。

これは、夏至の頃に南の空低くに見える満月の見え方とは対照的です。

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冬至の満月の南中時の高度の数値例（浜松）
2015年12月25日：73.4度
2020年12月30日：79.9度
2024年12月15日：83.6度
夏至の太陽の南中高度は 78.7度（2024年６月21日、浜松）

冬至の満月は、夏至の太陽の南中高度比べて、
2015年12月は ４度ほど低く、2020年は １度ほど高く（同レベル）、
2024年12月は ５度ほど高くに見えることがわかります。

これは、夏至と冬至の太陽の軌道の南北幅が一定であるのに対して、
白道（見掛けの月の道）と黄道（見掛けの太陽の道）とが５度ほど傾いているためです。
月の軌道の南北幅は、19年ほどの周期で変動し、昨年今年は最大幅でした。

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次に、方角数値とともに冬至の頃の満月の月の出・月の入りの画像をご紹介します。

浜松市内から月の出を見る時、北東側に見える富士山は地上の景物として最適です。
富士山と満月が並んでいれば、その月の出の方角がかなり北側であることがわかるからです。

満月が富士山に近づくのは冬です。

定点観測点の薬蔵坂から見た2024年１月23日午後２時43分頃の富士山と十三日の月

この観測点からは、2024年12月、2025年１月の富士山に最接近した満月を
写すことができても、重なって見えることはありません。

Google地図で北端の月が富士山にかかるはずの浜松市近隣地域を調べて、
2924年12月、浜名湖西岸、湖西市の女河八幡宮前の海岸に来ました。

冬の満月の月の出１（2024年12月）

2024年12月15日午後４時23分頃、女河八幡宮前の海岸より見た富士山と十五夜満月の月の出
月の出の方角は、55.1度、真東より34.9度北側（浜松）からでした。
南中時の高度は 83.6度でした。
夏至の太陽の南中高度は 78.7度（2024年６月21日、浜松） ですので、
2024 年の12月の満月は、太陽より５度ほど北側だったことがわかります。

冬の満月の月の出２ （2025年１月）

2025年１月13日午後４時13分頃、女河浦海水浴場北側の海岸より見た富士山山頂左を昇る十四日の月
14日午前７時19分に月が沈み、その８分後に満月になりました。
13日の月の出の方角は、56.1度、真東より33.9度北側（浜松）からでした。
北端の軌道になる12日の月の出の方角は、54.7度、真東より35.3度北側（浜松）でした。

次は、冬の満月の月の入り（2021年１月）です。

篠原町から見た１月29日午前６時57分頃、イオン志都呂店に隠れる寸前の十六夜の満月
 
29日午前４時16分頃に満月になり、月の入りは29日の午前７時15分（浜松）でした。
南中時の高度は 77.4度、月の入りは真西より26.2度北側でした。
２日前の十四日月が北端の月で、南中時の高度は 80.0度、月の入りは真西より30.6度北側でした。

夏至の太陽の南中高度は 78.7度（2024年６月21日、浜松） ですので、
2021年の１月の満月は、太陽よりもわずかに北側だったことがわかります。

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以上３枚の画像は、冬至の頃の満月の月の出・月の入りの方角が
真東より大きく北側の方角からとなり、北端に近い軌道を通ることを示しています。
南中時に空高く天頂近くに見えることは、画像がなかったので、
南中時の仰角の数字でご理解ください。

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２. 冬至の頃の新月の見え方

新月は、月が太陽に最も近い位置にあるため、太陽の光が眩しくて見えません。
これら２つが重なる場合は、日食になります。

冬至の頃の新月は、太陽と同様に南端付近の軌道を通るため、
南中時には南の空の低いところを通ります。
月の出入の方角も真東より最も南側になります。

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冬至の頃の新月の南中時の高度の例（浜松）：
2015年12月11日：36.9度
2020年12月30日：30.1度
2024年12月31日：26.7度

冬至の太陽の南中高度は、31.9度（浜松）ですので、
冬至の新月の方が、2015年12月は５度ほど高く、2020年は１度ほど低く、
2024年12月は５度ほど低くに見えることがわかります。

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なお、新月の前後の日には、二十九日月（晦日月）や二日月・三日月の観察ができます。

次は、新月の１日前の晦日月の月の出の風景（2024年１月）です。

2024年１月10日午前６時05分と６時12分の二十九日の月

新月の１日前の超細い月は南端の軌道で、薬蔵坂から見た月の出の方角は真東より約 35度南側でした。
なお、冬至の太陽は、真東より29.8度ほど南側から出るので、さらに５度ほど南側です。

二十九日の月は、空が明るくなると新月同様 見えなくなりますが、
この日の南中高度は 26.3度でした。2024年、25年は極小値になります。
冬至の太陽の南中高度よりさらに 5.6度ほど低い南側の軌道を通ることがわかります。

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次は、新月の次の日の二日月の月の入り前の風景（2019年１月）です。

2019年１月７日午後５時42分頃の沈みゆく二日月
志都呂団地西端から見た画角の下側右に、浜名湖大橋の車のライトによるカーブが見えます。

前日の１月６日の新月は南端の軌道でした。
南中時の高度が33.1度、月の入りは、真西より29.4度ほど南側の方角です。

冬至の太陽の南中高度は31.9度、日の入りの方角は真西より28.1度（浜松）南側です。
2019年の新月は、冬至の太陽の軌道に近い数値（1~2度）でした。

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以上２枚の画像のデータから、
2019年の新月の軌道は、冬至の太陽の軌道に近く、
2024年の新月の軌道は、冬至の太陽の軌道よりさらに５度ほど南側であることがわかります。

以上、新月が南端の軌道近くを通ることを確認しました。

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冬至の頃の半月、すなわち、上弦の月と下弦の月は、
東西の軌道付近を通り、それぞれ特徴的な見え方をします。

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３．冬至の頃の上弦の月の見え方

上弦の月は、昼頃出て、日没頃に南中し、真夜中頃に沈みます。

冬至の頃の上弦の月は、南中時に月の弦（光と影の境界の直線部）が
左側、つまり、反時計方向に傾いて見えます。
これは時計の文字盤で言えば、長針と短針が４時50数分頃の角度イメージに似ています。
沈む時は、弦が右に傾いた状態で沈みます。

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冬至頃の満月は北端近くの軌道を通り、新月は南端の軌道を通りますが、
上弦の月の軌道はその中間で、方角にバラツキがあるものの、
ほぼ東西の軌道で、南中時の高度も中間の高さです。

下図の南中時の高度の例（浜松）：
2023年11月20日：58.0度
2024年12月９日：53.3度
2025年１月７日：51.3度

東西の軌道を通る春分・秋分の日の太陽の南中時の高度（浜松）は約55度です。
上弦の月の南中時の高度の中心値は、ほぼこれと同じです。

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以下３枚の図で、上弦の月の月の出の頃の姿、南中時頃の姿、月の入りの頃の姿を示します。
姿とは、見え方を意味します。

次は、冬の上弦の月の月の出の頃の風景（2024年12月）です。

2024年12月９日午前１時58分頃の東の空の九日月

上弦の月になって13時間半後の、月の出時刻から１時間半後の姿です。
弦が左側に傾いています。
この日の月の出の方角は、94度でほぼ東でした。南中時の仰角高度は 53度でした。

次は、冬の上弦の月の南中時頃の姿（2025年１月）です。

2025年１月７日午後６時01分頃の八日月です。
この日の南中時刻は午後６時00分でした。

弦が垂直ではなく、右側、時計方向の傾きをしているのが特徴です。
「時計方向の傾き」とは、時計文字版での７時07~08分の長針・短針のなす角度イメージです。

この日の月の出方角は、70.6度で東より 19度ほど北側でした。
南中時の仰角高度は、65.3度で、15度ほど天頂側でした。

次は、冬の上弦の月の月の入り頃の姿（2025年1月）です。

2025年１月７日午後11時59分頃、西空沈む前（45分ほど前）の上弦の月

月の出方角は79.6度で東より10度ほど北側で、月の入りの方角は285度で西より15度北側でした。
南中時の仰角高度は、65.3度でした。
春分・秋分の日の太陽の南中時の高度（浜松）は約55度より10度ほど天頂側でした。 

上弦の月の軌道がほぼ東西であるのですが、太陽の動きと異なり、
月の南北移動は、東西の軌道の日前後は １日で７~８度移動するので、
１日ずれたら55度±08度、２日ずれたら55度±15度くらいのバラツキになります。
ここでいう「ほぼ東西の軌道」とはこのような範囲を意味します。

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以上の３枚の図が示すように、冬至近くの上弦の月の弦の角度は、
出る時は弦が左側に傾き、南中時に弦が垂直より右側に傾き、
沈む時は弦が水平近くになることがわかります。

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４．冬至の頃の下弦の月の見え方

下弦の月は、真夜中頃に東から出て、日の出頃に南中し、昼頃沈みます。

冬至の頃の下弦の月は、
月の出の時は、弦の傾きが水平近くで、 南中時に弦が左側に傾いて見えます。
これは時計の文字盤で言えば、長針と短針が４時50数分の角度イメージです。
月の入りは、右側に傾いたまま沈みます。

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そして、満月が南端近くの軌道を通り、新月が北端の軌道を通るのに対して、
下弦の月は、上弦の月同様、軌道の中心値は東西で、南中時の高度は中間の高さです。

南中時の高度の例（浜松）：
2021年12月27日：54.8度
2024年11月24日：64.1度
2024年12月23日：54.6度

東西の軌道を通る春分・秋分の日の太陽の南中時の高度（浜松）は約55度です。
南中時の高度ははほぼ同じですが、１日ずれると、±８度ほどのバラツキが見られます。

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以下３枚の図で、月の出の頃の姿、南中時頃の姿、月の入りの頃の姿を示します。

次は、冬の下弦の月の出の姿（2024年12月）です。

2024年12月23日未明の午前０時20分頃の東の空の下弦の月

月の出時刻から50分後の姿です。弦の傾きが水平近くであるのが特徴です。

月の出の方角は88.６度でほぼ真東からで、月の入りの方角は268度でほぼ真西（270度）でした。
南中時の仰角高度は、54.6度でした。
春分・秋分の日の太陽の南中時の高度（浜松）は約55度で、ほぼ同じでした。 

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次は、冬の下弦の月の南中時頃の姿（2020年12月）です。

2020年12月８日午前６時12分頃の下弦の月
南中時刻は、21分前の午前５時51分でした。

弦が垂直ではなく左側に傾いでいるのが特徴です。
時計文字版での４時50数分の長針・短針のなす角度イメージです。

月の出の方角は77度で真東から13度北側で、月の入りの方角は279で真西より９度北側でした。
南中時の仰角高度は、64度でした。
春分・秋分の日の太陽の南中時の高度（浜松）は約55度で、９度ほど天頂側でした。 

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次は、冬の下弦の月の月の入りの姿（2021年12月）です。

2021年12月27日午前10時19分頃、西空に沈みゆく下弦の月
月の入りの時刻の30分ほど前の姿です。

沈む時は、弦の傾きが右側に傾くが、水平近くまでにはならないのが特徴です。

この日の月の出方角は東より５度ほど北側で、月の入りの方角は西より２度北側でした。
南中時の仰角高度は58度で、春秋の太陽の南中高度より３度天頂側でした。
春秋の太陽の軌道とほぼ同じでした。

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以上の３枚の図より、冬至近くの下弦の月の弦の角度は、
出る時は弦が水平近くに傾き、南中時に弦が垂直までいかず左側に傾き、
沈む時は弦が右側に傾くが、水平近くにまで行かずに沈むことがわかります。

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上弦の月と下弦の月の総括図を示します。

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ご参考１；太陽の南中時の高度の例（浜松）
春分の日：55.6度 、夏至の日：78.7度
秋分の日：55.6度、 冬至の日：31.9度

ご参考２；太陽の日の出の方角の例（浜松）
春分の日：90±1 度 、夏至の日：60.2 度（真東より29.8 度北側）
秋分の日：90±1.3 度、 冬至の日：118.1 度（真東より28.1 度南側）

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以上、冬至頃の冬の月の見え方について、詳述しました。
追って、秋の見え方、春の見え方についてデータと画像で解説していきます。

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