「母が教えてくれた歌」について

哀愁と郷愁に満ちたドヴォルザーク (1841-1904) の曲を、絞りに絞って、
私のお気に入りは、交響曲８番第３楽章のメロディ、スラブ舞曲ホ短調、
ユーモレスクに加えて、このページのテーマである「母が教えてくれた歌」です。

from "Gypsy Melodies/Zigeunermelodien /Melodies tziganes"
「ジプシー歌曲集」作品55より。

チェコ語でのタイトルの表示は不完全ですが、"Kdyz mne stara matka" らしいです。

ドイツ語訳では、”Als die alte Mutter mich noch lehrte singen”

Als die alte Mutter　Mich noch lehrte singen　
Tra¨nen in den Wimpern　Gar so oft ihr hingen

Jetzt wo ich die Kleinen　 Selber u¨b'im Sange
Rieselt's mir von Auge　Rieselt's oft mir auf die braune Wange!

英語訳では、”Songs my mother taught me”

Songs my mother taught me　In the days long vanished
Seldom from her eyelids　Were the teardrops banished

Now I teach my children　Each melodious measure
Oft the tears are flowing　Oft they flow from my memory treasure

日本語では、；「母が教えてくれた歌」
（堀内敬三訳では「わが母の教え給いし歌」）

堀内敬三訳

母がわたしに　この歌を教えてくれた　昔の日
　　母は涙を　浮かべていた

今は私が　この歌を子どもに教える　ときとなり
　　私の目から　涙があふれ落ちる

最もシンプルで、こんなに美しい曲はないと思います。
ここでいう「シンプル」は、「冗長さがなく凝縮されている」という意です。

「わが母の教え給いし歌」とは、この曲のもつあたたかさと宝石のような美しさに
敬意を払って付けたものでしょうが、現代の感覚から見ると、もっと身近な感覚で、
「母が教えてくれた歌」「母に教わった歌」くらいが適切だと思います。

娘の母親への共感、生きることへの共感、ただ涙があふれる。
60才過ぎて、これらの情景を想い、歌を聴いて心が震えます。

アーティスト達も全身全霊で演奏し歌います。

１．バイオリンとオーケストラの演奏；https://www.youtube.com/watch?v=33l45lAd8rU

３．Victoria de los Angeles のドイツ語訳の歌；https://www.youtube.com/watch?v=EpupEM3TKJ8

４．佐藤しのぶさんの歌；https://youtu.be/tAE6hp269XM